犬上郡の豊郷小学校

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 数年前に解体か保存かで町長のリコール問題にまで発展し、全国的な話題になった旧中仙道沿いに建つ豊郷小学校。反対運動のころはネット上に多くの情報が流れましたが、保存が決まった後の情報が少なく、どうなっているのか見に行きました。
 当時の朝日新聞の記事です。「豊郷小学校は、1937年(昭和12年)に当時の建築技術の粋を集めて建設された。設計は神戸女学院大学、関西学院大学などの設計で知られるウィリアム・メレル・ヴォーリズ、施工は竹中工務店が担当した。建設費用、設備費用は当時のお金で合計約60万円、郷土出身で丸紅商店(現在の総合商社「丸紅」)専務の古川鉄治郎氏が全額まかなった。60万円は、当時の古川氏の財産の3分の2にあたる。昭和初期の大阪城天守閣の再建費用がが約50万円だったというから、この金額がいかに巨額であったかが想像できよう。当時の校長は完成式の挨拶の際、感謝の涙あるのみであったという。 」

豊郷小学校 1937(昭和12)年
滋賀県犬上郡豊郷町石畑518
撮影 2006.10.28
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 旧校舎の正面は西側です。離れて撮っても全体が写せないほどの長大な建物。とても小学校とは思えません。時代を考えると古川氏の熱意の凄さを感じます。コンクリート造り2階建て、全長が100mを超えます。中央部は3階建て。
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 さらに南側。
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 中央部。確かに建物は残っていますが、使われている形跡はありません。
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 エントランスからガラス越しに覗いて見ましたが。
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 正面の左側に出資者の古川鉄次郎氏の銅像。
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 本館北西側にある別棟の図書館。本館とは廊下でつながっています。
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 図書館の出入り口はヴォーリズらしい意匠。
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 酬徳記念図書館という表札があります。丸紅由来の酬徳会にちなんだとか。
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 図書館の縦長の窓。
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 窓から覗いた図書館の廊下。
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 一方、南西部には、これも別棟の講堂があります。
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 講堂の出入り口。鉄扉の塗装が剥げかけています。
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 煙突を見に裏へ回りました。講堂を東から見たところです。
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 講堂と本館はヴォーリズらしい回廊でつながっています。
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 回廊のアップ。
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 回廊の窓。細部を見るとかなり痛んでいるのがわかります。
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 運動場へ向かう途中にあった子どもたちの像。男の子はボールを持って立ち、女の子がしゃがんでなでているように見えるのはウサギでしょうか。
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 東面は凹凸がほとんどなくフラットです。
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 運動場の真ん中から見た東面。
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 東側に新校舎が建ち、校門も新しく東側になっていました。
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 校門を入ってすぐのところにあるヴォーリズっぽい建物はトイレです。煙突が見えますが、これは旧講堂の煙突。
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 運動場の東側に建った新校舎。これも長大です。旧校舎の解体反対運動の結末がこれ。なんとなく納得できない気がします。元々は旧校舎を改築して再使用するのが、住民多数の希望だったと思います。今は、相当なお金をかけて新校舎を建て、一方の旧校舎は「保存」というよりも、「放置」の状態です。素人目にも痛んでいるのが分かります。難しい問題とは思いますが、内部も見所が多いという旧校舎を何らかの形で一般に開放して内覧できる仕組みができないのでしょうか。

なお、素晴らしいといわれる校舎の中は↓のURLからどうぞ。
http://www46.tok2.com/home/arc/shiga/shiga_12.htm
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by gipsymania | 2006-11-15 13:06 | 建築


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