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因島の白滝山荘

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 因島にあるペンション白滝山荘はバプテストミッションハウスとして昭和初期にヴォーリズによって建てられ、宣教師ファーナム師が住宅として使用しファーナム邸とも呼ばれました。戦後は因島の日立造船のゲストハウスなどを経た後、荒れ放題になっていたそうですが、現在のオーナーである矢田部さんにより再生されました。素晴らしいチューダー・スタイルの木造一部3階建て。

いんのしまペンション 白滝山荘
旧 ファーナム住宅 (バプテストミッションハウス) 1931(昭和6)年
登録有形文化財
広島県尾道市因島重井町1233
撮影 2006.10.21 & 22
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 白滝山の中腹(といってもそんなに高所ではありません)にあるので、下の道路からもよく目立つ洋館。重井港からは車がいいでしょう。私は友人が迎えに来てくれましたが、ペンションの送迎もあるそうです。
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 ちょっと派手かなと思うほど太くて赤いラインで窓枠などを縁取る独特のハーフティンバーのデザインですが、近づいてよく見ると派手さよりも温かみを感じました。
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 道路側には当時のままの煉瓦塀が残っています。素晴らしい。
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 可愛いエントランスと煉瓦敷きの階段。
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 エントランスをアップで。左上に登録文化財のプレートが。斜面に立っているため、ここを入ると2階です。
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 入り口から後ろを見たところ。
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 エントランスの階段の下は1階で倉庫になっていました。
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 門灯も古い。
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 入り口横にあるベル。
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 入り口の木製扉も当時のまま。
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 この日は予約のキャンセルがあったとかで、宿泊客は私たちだけ。写真は出窓部分を外から見たところです。
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 このように斜面に建っていて向かって左側は三階建て。
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 食堂のヴォーリズらしい出窓。長椅子にもなります。
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 同じく食堂の正面側の窓。昔ながらの引き上げ窓です。
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 同じ窓ですが、最初の写真は夕方、こちらは朝に撮影しました。光の加減で雰囲気が変わります。
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 壁に埋め込まれた備え付けの食器棚。ヴォーリズの住宅によく見られる省スペース設計です。
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 食堂にはおなじみの暖炉。
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 3階の踊り場にも備え付けのタンスがあります。
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 3階に上がる階段には縦長の窓があって上手に光を取り入れるよう設計されています。
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 3階から階段部分を見ています。左にある丸窓が面白い。
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 丸窓から階段ホールを見たところ。
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 トイレ(共同)にあった昔のままの木製棚。
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 私たちが泊まった青柳の間です。
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 青柳の間に飾ってあった白滝山荘の絵。
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 こちらは部屋においてあった因島を紹介した絵本にあった白滝山荘の絵です。
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 裏側から見た山荘の全景。手前に煉瓦塀が見えます。
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 下の道路からの遠景です。ペンションは4室あります。13名までとか。アットホームで瀬戸内の幸を使った料理もおいしい。お値段も手ごろだと思います。なによりヴォーリズの建物に泊まる幸せが一番かな。

↓の2枚はJALの月間誌AGORAに出ていた白滝山荘。
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Pe's Poem 「更に丘へ」因島の白滝山荘_c0094541_1450526.jpg

  朝は戸口を出て
  垂直に伸びる建物と水平に伸びる道と
  二つの意思の間を
  ゆるやかに始まり
  色とりどりの営みに沿って
  楽しい日々の時刻めぐり
  午前十時の上り坂因島の白滝山荘_c0094541_1451995.jpg
  春ならばさくらのように過ぎて
  からんと明るい光雲(てるも)神社
  願いの筋はくもりのちはれ
  ふっくらとまるみを帯びた丘の上
  正午には展望台でまるい風景を眺める
  望遠鏡の中の光る海はきっかり一分
  望遠鏡の中の光る街もきっかり一分
  わずかな時間の所有の夢は
  コインが落ちてあとかたもなく因島の白滝山荘_c0094541_14512726.jpg
  閉ざされたレンズの向こうに
  霞のかかった海や街
  あるようでないような風景を尋ねて
  午後二時の下り坂
  秋ならばすすきかるかやを過ぎて
  紅葉の林はひんやりとして炎もなく
  身を焼くほどの罪はない か
因島の白滝山荘_c0094541_14514972.jpg  ひとでなしの罪はない か
  世はなべてこともなし
  予定調和の時刻めぐりの
  一日一日ずり落ちて
  このたびとつぜん更年期
  目の中をまっ赤に染めて夕陽が落ちる
  ここから始まる新しい日課は
  いまだ来たらず
  わたしはくうはく 空白です
因島の白滝山荘_c0094541_1452977.jpg  たたずめば足元にうずくまる風
  あるかなしか空気にも流れる道があり
  空白は 身軽だと分かる
  ウォーミングアップに小石をひとつ
  つま先でけり上げる
  さて とか
  では とか因島の白滝山荘_c0094541_14522995.jpg
  知らず知らずに声が出て
  その先はゆるやかに傾斜してゆく
  放物線の残像を追いかけて
  ふたたび春ならば
  見慣れた地図の上り坂
  丘の上にはやはり望遠鏡があるのだろうか



「おまけ」
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 広島から三原へ移動して、高速艇で因島へ渡る予定でした。手違いがあって山陽本線ではなく、海側を延々を走る呉線に乗ってしまいました。時間はかかるし、途中で乗り換えが必要でした。乗り換えた列車がこの瀬戸内マリンライナーでした。
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 マリンライナーの先頭車はこんな雰囲気のある車両です。とはいえ各駅停車の2両連結。時間をかけてゆっくり走ります。間違って呉線に乗ってよかった。
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 三原港からはこの高速艇で重井港まで20分もかかりません。
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 白滝山荘で一泊した翌日は因島の友人が写真の船でクルージングに誘ってくれました。
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 クルージングで見かけた向島の別荘地。
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 因島大橋の下もくぐりました。
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 帰りは重井港から尾道へ、やはり船で移動。写真はJR尾道駅。
by gipsymania | 2006-11-30 14:56 | 建築


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