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神戸・御影の小寺邸

 御影の住吉山手にある小寺邸。最初に行ったときは発見できず出直しました。スパニッシュ・スタイル住宅の傑作です。

 ↓のコメント欄で初めて知りましたが、この小寺邸は解体されるようです。東日本大震災の被害で福島教会が解体されたばかりです。天災なので、諦めもつきますが、こちらは人災のようです。全く残念でなりません。(2011.4.8)

小寺邸
旧 小寺敬一邸 1930(昭和5)年
神戸市東灘区住吉山手
撮影 2006.7.30
前回は見つけることが出来ませんでしたが、今回はある程度ターゲットを絞ったので簡単に見つかりました。というかセブンハーツから見たこの写真で一目瞭然。すぐ上だったのです。
 セブンハーツの横の坂道を上っていくと、この東面があります。気づかなかった前回は何故?と今考えるとはっきりした住所が分からない小寺邸より、目的がはっきりしている乾邸に神経が行っていたのかなと。
 上りきって左に曲がると全貌が見えます。北が正面になっており、これは東側。
 門飾りと中央の部分。
 向かって西面。大きな邸宅です。二階建てにロフトがあるように見えますが、実は三階建てなのです。
 西側に行くと小屋がありました。これもヴォーリズの雰囲気が。
 ネットではあまり南面の写真は見たことがないのですが、北から南に土地が傾斜しているので三階建てに加えてロフトがあります。南の方が色気を感じますね。
 よく見ると正面に廻る階段にフクロウがいました。ヴォーリズらしいユーモアがここでも。これだけでも小寺邸の素晴らしさが分かると思います。
 南面があまりに素晴らしいのでもう少し。
 もう一枚。
 最後に東面の塀を見ながらお別れ。個人的にはスパニッシュの個人住宅ではスケール感と保存状態の良好さから、大阪の近江岸邸、東京の東芝高輪倶楽部と並ぶヴォーリズの3大傑作の一つといってよいと思います。

解体されたと聞き、書籍「ヴォーリズ建築の100年」に載った室内の様子を転載します。こんなに美しい住宅が何故?(2011.4.10)

Pe's Poem 「八月の肖像」


  蝉の声が
  銀色に広がり
  
  耳から侵入する
  夏の陽射しに
  汗を滲ませながら
  遠のいてゆく鼓動の
  行方にそって
  炎天下のアスファルトが伸び
  
  透視図法の消失点から
  中折れのパナマ帽子が現れ
  白麻のスーツを着た人が
  歩いてくるスローモーションは
  八月の明るい午後の定番プログラム
  感動するという出会いには

  ならない
  
  こちらから
  今年あたりは
  パラソルなど回転させて
  陽光を弾き飛ばして歩み寄り
  帽子の陰に隠された顔を
  すれ違いざまに一瞥する
  そうしたら
  
  そうすると
  何が見えるのだろうか
  
  すれ違う瞬間に
  陽炎が燃え立ち
  アスファルトの一点に
  黒い染みが生じて

  火に煽られたフィルムの様に
  ねじれていく
  古い風景に取り残された
  パラソルの下に八月の静寂
  
  どんな顔ももう
  見ることはできなくて
  
  白一色
  異次元のハードルを跳び越えられず
  クローズアップのまま溶解
  
  再び蝉しぐれ
  途切れない読経と
  骨片の刺さった印象画